ゴミ箱モデル(garbage can model)
ゴミ箱モデル(garbage can model)
サイモンの意思決定論が求める意思決定への科学的接近に対して、組織における曖昧さや非合理性の存在を前提として意思決定の研究を行ったのがゴミ箱モデル(garbage can model)である
ゴミ箱モデルでは、組織の意思決定状況を、「組織化された無秩序(organized anarchy)」と呼び、目的や選考基準が漠然としており、行為とその結果との因果関係が不明確で、さまざまな決定の場への個人やグループの参加が流動的であると指摘している。こうした状況下では、意思決定は機械にすぎず、雑多な決定因が偶然に結びつく場であると考えられる。
ゴミ箱モデルは、4つの決定因の流れに注目する。それらは、意思決定が行われる場としての選択機会の流れ、決定に直接的・間接的に関与する参加者の流れ、選択機会において考慮されることが期待される問題の流れ、なんらかの考え方やアイディアである解の流れである。そして、参加者、問題、解をゴミに、選択機会をゴミが投げ込まれるゴミ箱にたとえて、組織の意思決定をモデル化しているのである。
ゴミ箱モデルは、論理的・必然的な秩序ではなく、偶然的・一時的な秩序を基調とするものである。これは、組織の合理性を強調する論理が排除していた、組織の曖昧性やゆらぎに着目する新しい組織の意思決定モデルということができる。また、このモデルは、情報通信技術による情報システムのみで意思決定を支援することの限界を示唆する。さらには、日常的な業務の中から偶然、意図しない優れた情報システムが生まれるといった非合理な現象をも、今日的な経営情報システム研究において重視すべきであるという論拠を提供する。
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